
ハリー・キャラハン(Harry Callahan)は、映画『ダーティハリー』シリーズの主人公である。シリーズを通してクリント・イーストウッドが演じている。
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人物[]
1930年サンフランシスコ生まれ。作中で具体的に描写されることは少ないが、気質や風貌、名前からアイルランド系とされる。サンフランシスコ市警察・本部殺人課(日本の捜査第一課相当)に所属する刑事。階級はInspector(一般には警部、警視、警視長クラスの高級幹部のことだが、ハリーの属するサンフランシスコ市警では、巡査・巡査部長クラスの捜査官・刑事の階級・職名。一般のDetectiveにあたる。アメリカ合衆国の警察#階級)。バッジナンバー2211。普通は他人が嫌がる汚れ仕事ばかりしているので仲間内から「ダーティハリー(汚れ屋ハリー)」とあだ名されている。
捜査の手段を選ぶ事は無く、時に暴力に訴える場合もある。法律が完全ではないため、自身が望む捜査が行えない事や時に犯罪者が野放しにされる状況を歯痒く思う事はあるが、「誰かが正してくれるまでは」法律を守る主義であり、逸脱は自らが(辞職などによって)責任を負う覚悟の上である。したがって、正体を隠しての私刑などに対しては断固反対であり、シリーズ第2作で警察内の秘密処刑集団に勧誘された際には、激しい怒りを見せてこれを拒絶している。
犯罪被害者の立場を尊重する傾向が強く、シリーズ第4作のラストではその心情と上記の信念が微妙なバランスを見せ、それまでにない判断で事件を決着させた。犯罪者も舌を巻く抜け目のなさを持ち、社会のありようそのものに深い絶望を見せながら、警察官であり続ける理由は「言っても信じないだろ」。
皮肉屋で、人間嫌いのひねくれ者を装っており、特に新米の同僚、マスコミ関係者に厳しい態度を取って見せる。が、一旦相手を認めれば信義に厚く、優しい面を見せることもある。上司、上役など上の人間にとっては極めて扱いにくい人間であり、市長ほどの権力者に対しても、決して主張を曲げない意地の持ち主である。
妻を事故で亡くしている。映画ではハリーの台詞でわずかに触れられる程度だが、警察官としての彼の思想に影を落としている事は十分考えられる。しかし、妻への愛に縛られるでもなく、女性関係はわりと奔放。事件関係者でもご近所さんでも、気が合えば簡単にベッドをともにする。
射撃、特に拳銃を使ったコンバットシューティング(実戦射撃)には超一流の腕を誇っており、市警の射撃コンテストでは長年チャンピオンの座を維持した。疾走するバスの屋根に陸橋から飛び乗る運動神経、自分より若手の刑事に負けない体力の持ち主。
煙草は吸わず、酒はビールのみ(これはハリー・キャラハンを演じるクリント・イーストウッド本人に共通する)。朝は行きつけのダイナーでドーナツとブラックコーヒー。昼と夜は、「ジャフィーの店」(Jaffy's)でホットドッグを食する事が多いらしい。
服装はアメリカン・トラッド(ツイードジャケットに細身(服飾用語で「パイプド・ステム」)のウールスラックス)、靴はプレーントウ(爪先が丸く平らで全く飾りのない革靴)と決めている。サングラスを手放さない。
キャラクター創造はハリー・ジュリアン・フィンク、リタ・M・フィンク夫妻による合作。
使用武器[]
スミス&ウェッソンM29「44マグナム」6.5インチ銃身長のブラックモデルを愛用。1970年代当時のS&W社の最高級モデル。口径.44S&Wマグナム、6連発。
シリーズ第1作での「これは世界一強力な拳銃だ」の台詞が有名。 シリーズ第2作では「弾薬はライトロードスペシャルを使っているから、.357マグナムより扱い易い」と火薬の量を減らした特別装薬弾を使用している旨の台詞がある。またシリーズ第3作では「貫通力を高めるために使用している」と劇中で語っているため、弾薬を2回変更している模様。
シリーズ第2作では犯人の乗った車と共に爆発し、シリーズ第4作では暴漢に襲われた時に海に落としている。そのためM29の代わりに.44オートマグを使用していた。これは、かつて命を助けた鉄砲鍛冶から贈られた特注品で、市販モデルより銃身が1インチ長く、表面が磨き仕上げになっている。シリーズ第5作では再度M29を使用。つまり買い替えており、.44マグナムM29は3代目という事になる。
周辺人物[]
ダーティハリー[]
- チコ・ゴンザレス
- 若手の刑事で大学では社会学を専攻していた。ハリーが犯人の“サソリ”への身代金を運搬している所を上司には秘密で尾行。公園でハリーは射殺されそうになるがチコが間一髪の所で助けに入る。しかしその時に撃たれて重傷を負う。その後、教員免許を持っていたため警察官を辞職。小学校教師へと転職している。
- 使用武器はS&W M10。
- フランク・ディジョージオ
- ハリーの同僚。司祭の殺害現場にいち早く駆けつけるが手遅れだった。競技場でサソリを追い詰めるときはライトを点けてサソリの居場所を照らし出すという見事な活躍も見せた。交渉に臨みナイフを持参するハリーを見て「刑事が足にナイフを忍ばせるとは世も末だ」と溜息をついている。
- アル・ブレスラー
- ハリーの上司。ハリーの捜査に閉口しているようだが手腕は買っている。
ダーティハリー2[]
- アーリー・スミス
- ハリーの相棒。パンチパーマが特徴的。スーパーマーケットを襲った強盗を迎え撃つために店員に変装したりもする。犯人が自宅の郵便受けに仕掛けた爆弾で死亡。
- 使用武器はコルト・パイソン。
- チャーリー・マッコイ
- 交通課(恐らく)の白バイ隊員。ハリーの友人。犯罪者を殺してでも犯罪を無くすべきだという過激な考えによってハリーに疑いを掛けられる。ハリーは彼を犯人だと推理し上司に進言するが、その直前に真犯人に殺害されていた。
- フランク・ディジョージオ
- 麻薬元締めの殺害を目撃する以外は今回は出番があまり無い。
- ニール・ブリッグス
- 市警の殺人課警部補。拳銃は使わない主義らしく、物語冒頭からハリーと対立する。
- サニー
- ハリーと同じアパートの住人。アパートに仕掛けられた爆弾で危うく死亡するところをハリーに助けられる。
ダーティハリー3[]
- ケイト・ムーア
- 昇進試験に受かった直後で、拳銃を使った事すらない新米刑事。失敗を犯し最初はハリーとの間に溝が生じていたが、次第に心が通じ合っていく。アルカトラズ島での銃撃戦において殉職。
- 使用武器はコルト・ダイアモンドバックの2.5インチ。
- フランク・ディジョージオ
- 当初はハリーの相棒として共に働いていたが、テロリスト集団による陸軍武器庫襲撃現場へ単身踏み込み、一味の一人に刺され殉職。
- 使用武器はS&W M28。
- マッケイ
- 市警殺人課の警部、吹替版では本部長になっている。酒屋篭城犯への強行突入を単独で行ったハリーに激怒。人事課に配転しムーアとの出会いのきっかけを作った。
- ビッグ・エド・ムスタファ
- 黒人過激派の頭領。今回の事件の犯人をハリーに教える。余談だが、ムスタファを演じたアルバート・ポップウェルはシリーズ第1作で銀行強盗を犯しハリーに発砲される犯人、シリーズ第2作では殺害される売春婦の元締め、JJ・ウィルソンとして双方の作品に出演している。
ダーティハリー4[]
- ホレース・キング
- 市警刑事。ハリーとは気が会う良き相棒だったが、刺殺された(前作でムスタファを演じたアルバート・ポップウェルが、今作ではホレースを演じている)
- ジェニファー・スペンサー
- サンパウロの町の画家。捜査の為に出張してきたハリーと恋仲になるが彼女には人には言えない大きな悩みがあるようだった。
- プリッグス
- 市警殺人課の警部でハリーの上司。前作で市警殺人課の本部長、マッケイを演じたブラッドフォード・ディルマンが演じているのだが、なぜ前作と役名が異なるのかは不明
ダーティハリー5[]
- アル・クワン
- ハリーの相棒。中国系で元チャイナタウンの不良。クンフーを使いこなす。爆弾を搭載したおもちゃのラジコンカーに襲撃され重傷を負うが、祖父の助言で着用していた防弾チョッキによって命はとりとめる。
- サマンサ・ウォーカー
- 以前からハリーの捜査方法に興味を持っていたレポーター。ハリーと共に事件の真相を追うが、逆に犯人に捕らえられてしまう。
敵[]
ダーティハリー[]
- サソリ
- 市民を射殺し市長に身代金を要求する。さらには14歳の少女を監禁し強姦した上にマンホールに閉じ込め窒息死させるという残忍かつ卑劣な殺人犯である。ハリーが一度は逮捕するがミランダ警告を行わず、令状も取らず、加えてハリーによってサソリに対する拷問があったとされ釈放されてしまう。釈放後も無免許医に金を払って自分を殴らせ、それをハリーの仕業だとマスコミに発表したり、スクールバスをバスジャックして国外逃亡を図る。しかし、ハリーの44マグナムに体を貫かれ死亡した。
- 使用武器は二式テラ銃、MP40、ワルサーP38。
ダーティハリー2[]
- ジョン・デイヴィス
マイク・グライムズ
フィル・スイート
レッド・アストラカン - 新人の白バイ警官。法の網を掻い潜ってのさばる悪党たちを問答無用で殺害していく。「似たような捜査をしている」からとハリーに仲間になるよう要求するが、彼らの考えに同意できないハリーはそれを断る。スイートは犯罪組織との銃撃戦で殉職(彼らに言わせれば「必要な犠牲」らしいが)、グライムズはハリーの自動車による体当たりで死亡、アストラカンは肉弾戦で首を折られ、デイヴィスはハリーを深追いして白バイごと海に転落し自滅した。
- 全員コルト・パイソンの4インチを使用。一部では消音器を装着していた(実際には効果は無い)。他にもS&W M76(サブマシンガン)を使用していた。
- ニール・ブリッグス
- 市警の殺人課捜査員として犯罪者連続殺人事件を捜査していたが、実は彼こそがデイヴィスらを動かしていた黒幕だった。最後は「法廷に引き据えて死刑判決を受けさせる」といってデイヴィス達を殺したハリーを見逃し車で帰途に着いたが、ハリーが車内に忍ばせた(そもそも最初はハリーを殺すため彼のアパートに仕掛けられていた)時限爆弾で爆死した。
- 使用武器はS&W M19とコルト・パイソン。恐らくグライムズのものを使用。
ダーティハリー3[]
- ボビー・マックスウェル
- テロリスト集団「フェッセンハイム」のリーダー。市長を誘拐してアルカトラズ島に立て篭もるが、ハリーとムーアの介入によって計画は頓挫。最後はハリーに対戦車ミサイルで木っ端微塵にされる。
- 使用武器はS&W M15、M16。
ダーティハリー4[]
- ジェニファー・スペンサー
- 過去、妹と共にレイプされ、妹が精神に深い傷を負う。その復讐のために加害者たちを次々と血祭りに上げていく。
- 使用武器はコルト・ディティクティブスペシャル。
- ミック・パーキンズ
レイ・パーキンズ
クルーガー - ジェニファーたちをレイプした犯人。襲ってくる彼女はおろか、真相に気付いたハリーやホレースまでも殺害しようとする。最後はハリーの44オートマグによって全員射殺される。
ダーティハリー5[]
- ハーラン・ロック
- 総合失調症を患っている。映画業界関係者の間でおこなわれていた「死亡予想(Dead Pool)」というゲームを現実化する形で殺人を進め、ついにハリーをも手に掛けようとする。最後は捕鯨砲で撃たれる。
- ルー・ジャネロ
- ハリーによって逮捕され服役中のギャングのボス。刑務所内からハリー抹殺の指示を出していたが、ハリーの奸計によって逆に護衛を命じる羽目になる。
参考資料[]
ダーティハリー5・映画パンフレット
関連項目[]
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